header



司牧のことば • Pastoral Messages
spacer

司牧の言葉 Pastoral Message





属人教区の使命 --- 最初の5年を振り返って思う (2016.4.18) 
One man's reflection on the Ordinariate after the first five years

D.マーフィ博士(Dr. David Murphy) 英ウオルシンガム属人教区信徒

(田中信彦 訳)
(Translated by N.Tanaka)



属人教区の使命についての誤解
The Misunderstandings of the mission of the Ordinariate


皆さんは、Jボーグル夫人* とMピタム神父(英ウオルシンガムの聖母属人教区)による二つの論文を読んで、この5年間の属人教区の歩みは、聖公会内のアングロ・カトリック主義の人々をペテロの使徒座に結びつけるという基本的な任務には失敗し、他方、小教区的な会衆の造成、およびカトリック教区とは別の活動分野においてだけ成功しているという結論に我慢しなければならないと思うかも知れません。しかし、これら二つの結論は、全面的にすべて間違っているとは言えませんが、極めて短絡的な判断です。。

*カトリックの著名な評論家(元聖公会信徒)

「使徒憲章」アングリカノールム・チェティブス「使徒憲章」は教皇ベネディクト16世によって公布されました。そして英、米、豪の属人教区が設立されました。この使徒憲章は、使徒座に想いを寄せているアングロ・カトリックの人々を聖公会から引き離そうと云う転覆的な動機を持つ改宗の戦術ではなく、すでにカトリック教会の中に受け入れられたいと願ってバチカンの扉を叩いていた聖公会員に対しての応答でした。

多くの人々は、カトリックのメディアの人たちでさえ、この使徒憲章が転覆目的をもって改宗をせまる試みを持つものであると誤って考えており、教皇ベネディクト16世が本当は、真の教会一致はすべてのプロテスタント(正教会をも含めて?) をカトリック教会に改宗させることであると考えているのではないかと、教皇を矮小化し、落とし込もうとさえしているのです。それは、この名誉教皇を全く理解していないことになります。 すでに大分以前から何千人もの聖公会員が、ローマの使徒座との完全な交わりを求めて、カトリックへ改宗していました。 聖公会員の改宗は、そもそも属人教区の使命としては考えられてはおりまさせん。

属人教区は失敗であったか
The Ordinariate is a failure?

私たちのうちのある人たちは、属人教区に実際に参加した仲間の聖公会員が比較的少数であったことを不思議に思ったり、大変残念に思ったりしています。もし、少なくとも参加した司祭の数に見合う多くの聖公会員が(属人教区に受け入れられ、また属人教区に属する会衆が十分に機能するような各個教会を形成したり、また各個教会の司祭の日々の生活を支援するのに十分な大きさであったら、日々の営みはかなり楽になっていたことでしょう。

私たちは今、現実がそうではないことを知っています。私たちの現実に見合った備えをしていかなければなりません。このことについては別の機会に述べることにします。

使徒憲章は、転覆的な改宗の動機を持たない
It is not an act of proselytism

その動機は、キリストの教会(the Church of Christ)の内側での回心であり、もっと正確に言えばローマカトリック教会の中での回心です。

この回心は、真の教会一致へのある一つの決定的な道として続いて来ており、さらに、第2バチカン公会議が提示したアジョルナメント*に先立つものでした。この意味でのキリストの教会の回心こそが、属人教区においての真のエキュメニズム・教会の一致(の運動)として考えられていることなのです。

*これは、ニューマンの説いた「教理の発展」の思想から導かれた考え方で、訳語としては、「今日化」という言葉が良いとされている。


第2バチカン公会議は、教会についての教義的憲章である『教会憲章』の中で、私たちがニケア・コンスタンチノープル信経で 「聖なる、普遍の、使徒的、唯一の教会」と告白するキリストの教会がカトリック教会の中にあり、そして、このキリストの教会はペトロの後継者ローマ教皇と、また教皇との交わりの内にある司教たちによって治められていることを承認しています。

しかし、それにもかかわらず、聖化と真理の多くの要素は、実に、カトリック教会の目に見える境界の外側にも見いだされているのです。

それらの要素は、キリストの教会が正当に持っている神からの賜物ですから、それらは普遍的な教会一致*へと駆り立てる 力 であります。 さらに、『エキュメニズムに関する教会一致の教令』 は、その考えを発展させました。

*『教会憲章』第8章

教皇ベネディクトが彼の「使徒憲章」の前文に含めた、『教会憲章』からのこの引用が正確な引用であったことは、とりわけ重要の意味を持っています。その「それにもかかわらず」という言葉は特別に注目すべきものです。

ベネディクト前教皇、また、現フランシスコ教皇の教会一致の考え
Ecumenical thought of Pope Emeritus and Pope Francis

それは、上記の賜物をキリストの教会に統合させることであり、カトリック教会がそれらの賜物を受けるために開かれているということを意味しています。宗教改革をしたある一教会(聖公会)の持つ霊性、典礼、司牧慣行に関する継承財産のすべてがバチカンによって明確に認められたのはこれが最初です。さらにこの統合あるいは回心の任務を達成するために、ローマ教皇に直属する独立した管区(属人教区)が設立されたのでした。

現フランシスコ教皇もまた、属人教区の役割を、この新しい福音伝道New Evangelizationにおいて強めるという決断をされ、さらに、属人教区に権限を与えて、改宗を迫る手段としてではなしに、カトリックの入信式を完了していないカトリックのメンバーを属人教区の聖職者によって教会に復帰させ、受洗したカトリックのメンバーとして受け入れることを認められました。

このことは、現教皇が、上述の理念の全体を十全に理解しておられることをはっきりと示すものです。また、属人教区自身も、属人教区の集会に参加し礼拝するいかなるカトリック教徒をも属人教区の同等会員になることを認めることによって、さらにそれを進めています。

結論
Conclusion

ここで、今まで述べたことの結論を述べます。聖公会から回心した人の数は、皆さんが望んだほどには多くなかったと云う事実は、不幸なことではありましたが、それは、決して属人教区の失敗を意味するものではありません。属人教区が、各個会衆の生活の中で、また英国とフランスのカトリック小教区、また幾つかのチャプレン活動において「使命」を達成しているという様々の成果は、「使徒憲章」に言及されている聖化と真理の賜物を全教会と分かち合うという、属人教区に与えられている明白な使命なのです。

もう一つの重要な分野
Another important sphere of the mission

それは、すでに誕生しているアングリカノールム・チェティブス協会その他に支えられて、この「使徒憲章」のうちに言われている、全教会と分かち合われるべき「聖公会の継承財産」(第3章)を学び、よく考え、そして(最終的には教理省を通して)正式に確認することです。そしてこれを達成するための戦略をさらに発展させることです。

しかしながら、属人教区の使命はアングリカンの継承財産の分かち合いに限定されません。同じ段落(第3章)において「使徒憲章」はこの継承財産を祝い、維持して行くことを述べています。それゆえ、学び、考え、確定、教会としての戦略の発展は、明らかに、継承財産を維持し、祝い、分かち合うという三重の課題を含んでいるのです。

私は他の機会に、その目的のための組織的な構造をめぐる有効性を評価、提言し、幾つかの展望を述べたいと考えています*。    以上

         
 *著者は、Sアンダーソン神父と共同で、2013年の資料から、英、米、加の100グループほどの属人教区の会衆を5つの型に分け、分析を進めている。





このホームページへの掲載は、これで終了します。

著者は、Sアンダーソン神父と共同で、2013年の資料から、英、米、加の100近くの属人教区の会衆を5つの型に分け、分析しています。なお、小見出しは、読者のため、加筆しました。





Copyright 2016 The Personal Ordinariate of Our Lady of the Southern Cross Ordinariate Community of St. Augustine of Canterbury (Japanese speaking). All rights reserved.